薄毛や抜け毛が気になっている方の中には、「自分の毛根は死滅してしまったのだろうか」「一度髪の毛が生えなくなった毛根は、もう復活しないのだろうか」と不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。髪の毛は容姿に影響する重要な要素なので、気になってしまうのも無理はありません。
本記事では、髪の毛が生えてこない毛根を復活させる方法について解説します。髪の毛が生えにくくなる原因と対策を知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
死滅した毛根は復活しない
結論からお伝えすると、一度死滅した毛根は復活しません。一方、「毛根が完全に死滅する」という状態はめったに起こらないのも事実です。髪の毛が生えない毛根の多くは、死滅しているのではなく「眠っている」状態なのです。
毛根が死滅しているか、眠っているかを見分ける方法は2つあります。
- 産毛が生えるか
- 抜け毛に白い毛根があるか
「産毛は生えるが成長しない」という場合は、毛根が眠っている状態と考えられます。また、抜けた毛に白い毛根がついている場合、その髪の毛が生えていた毛根はまだ生きている可能性が高いといえます。自分の頭皮や抜けた毛をチェックして、毛根の状態を正しく把握しておきましょう。
髪の毛が生える仕組み
髪の毛が生えない理由を解説する前に、髪の毛が生える仕組みについて理解しましょう。髪の毛は、以下に挙げるサイクルを繰り返しています。
- 成長期
- 退行期
- 休止期
- 脱毛
成長期は2〜6年と幅があります。頭皮や髪の毛が健康な状態であれば、全体の90%以上は成長期の髪の毛です。成長期が終わると、約2週間の退行期を経て、3ヶ月程度の休止期に入ります。休止期に新しい髪の毛が下から生えてくることにより、古い髪の毛が抜けるという流れです。そして1〜4のサイクルを15〜20回程度繰り返すと、毛根は寿命を迎えます。
生きている毛根から髪が生えない理由
毛根が生きているのに髪が生えない場合、ヘアサイクルの乱れが考えられます。成長期が短くなったり、休止期が長くなったりすることで、毛根が生きていても髪は生えない状態になっているのでしょう。
ヘアサイクルの乱れは、生活習慣の乱れなどが原因で起こります。過度なダイエットによる栄養不足や血行不良には注意してください。ヘアサイクルの乱れに心当たりがある方は、今一度生活習慣を見直してみましょう。
毛根の働きを復活させるために大切な5つのこと
ヘアサイクルを正常に保つ上で重要なポイントを5つ解説します。
- 栄養バランスの取れた食事
- 質のよい睡眠
- 禁煙
- 節酒
- 頭皮環境の整備
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.栄養バランスのとれた食事
ヘアサイクルを正常に保つためには、髪の毛の成長に必要な栄養を十分に補給することが大切です。健康な髪を育てるために意識したい栄養素を4つ紹介します。
- タンパク質
- 亜鉛
- DHA・EPA
- 糖質
タンパク質
タンパク質は、髪の毛の材料になる栄養素です。髪の毛は「ケラチン」というタンパク質が主成分で、18種類のアミノ酸が結合してできた物質です。十分量のタンパク質を摂取することで、ケラチンを構成するアミノ酸が体の中に満たされます。
タンパク質は、肉類や魚類、大豆などに含まれています。日ごろの食事にタンパク質が足りないと感じる方は、プロテインなどを活用して補うのもよいでしょう。過剰摂取は肥満の要因になってしまうので注意してくださいね。
亜鉛
亜鉛は、アミノ酸の再合成や毛母細胞の細胞分裂に必要な栄養素です。食事から取り込んだタンパク質は、一度バラバラに分解されてアミノ酸となり吸収されます。18種類のアミノ酸をつなげてケラチンを作る上で、亜鉛が重要な役割をはたしているのです。
亜鉛は、牡蠣や卵、カシューナッツなどに多く含まれています。毎日の食事に卵を使うよう意識したり、間食にナッツを取り入れてみたりするのがオススメです。
DHA・EPA
DHAやEPAは、血液をサラサラにする作用のある栄養素で、医薬品にも使用されています。血液がサラサラになることで、摂取した栄養素が毛根まで運ばれやすくなるのです。
DHAやEPAを豊富に含む食材としては、青魚が有名です。毎日の食事で肉類を選ぶことが多い方は、意識して魚を選ぶ機会を増やしてみてはいかがでしょうか。
糖質
糖質はとりすぎないように意識に注意したい栄養素です。糖質の摂取量が多すぎると、高血糖を引き起こして血流が悪くなってしまいます。血行不良になると栄養素が毛根に行き渡りにくくなってしまうのです。
甘いものや炭水化物が好きな方は、毎日食べている糖質の量を一度計算してみてください。目安量をオーバーしているようであれば、少し食生活の見直しが必要といえるでしょう。
2.質のよい睡眠
質のよい睡眠も、ヘアサイクルを正常に保つ上で重要なポイントです。規則正しい睡眠リズムや適切な睡眠時間を守って深い睡眠がとれると、成長ホルモンが分泌されて髪の生育にいい影響をもたらします。睡眠の質をアップさせるのに役立つ方法を2つ紹介します。
- ぬるめのお湯で入浴する
- 就寝30分前からはブルーライトを避ける
ぬるめのお湯で入浴する
お風呂はぬるめのお湯で入浴するのがオススメです。熱いお風呂は気持ちがよいのですが、刺激になって目が覚めてしまいます。お湯の温度は40℃以下に設定するとよいでしょう。
また、入浴は就寝時間の1時間前までに済ませるとよいといわれています。日中に上がった体温が下がるタイミングで眠気が起こるので、入浴後の熱がある程度冷めてから就寝すると心地よく眠れます。
就寝30分前からはブルーライトを避ける
就寝時間の30分前からは、スマホやパソコンなどのブルーライトを避けて過ごすのがオススメです。ブルーライトは脳を覚醒させてしまうので、寝る直前にスマホを触っていると睡眠の質が低下してしまいます。
できれば部屋の照明も少し落として、リラックスできる空間づくりを心がけてみてください。寝る前から少しずつ、脳を休ませてあげることが大切です。
3.禁煙
喫煙習慣がある方は、髪への影響を考慮するなら禁煙することを推奨します。タバコに含まれているニコチンには、毛細血管を収縮させる作用があるためです。毛細血管が収縮してしまうと、必要な酸素や栄養が毛根に行き渡りにくくなってしまいます。
自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来を受診しての治療も可能です。喫煙は髪の発育以外にも影響を及ぼすので、禁煙を検討している方は試してみてください。
4.節酒
飲酒を適量で楽しむことも、正常なヘアサイクルを維持する上で大切なポイントです。適度な飲酒は血行促進効果をもたらしますが、深酒や寝酒は睡眠の質が低下してしまいます。アルコールの1日あたりの適量は以下の通りです。
- ビール:ロング缶1本(500mL)
- 日本酒:1合(180mL)
- ワイン:グラス2杯弱(200mL)
アルコールを分解する際にも栄養素が使われるので、過度な飲酒は髪の栄養不足にもつながってしまいます。飲酒は適量を守って楽しむことを意識しましょう。
5.頭皮環境の整備
頭皮環境を健康で清潔な状態に整えておくことも、ヘアサイクルの乱れを整える上で必要不可欠な要素です。頭皮環境を整えるためにできることを3つ紹介します。
- 頭皮に優しいシャンプー
- 頭皮の血行促進
- 育毛剤の使用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
頭皮に優しいシャンプー
毎日のシャンプーは、頭皮への刺激をできる限り抑えることが重要です。強い刺激が加わると、毛根を傷つけてしまう可能性があります。頭皮に優しいシャンプーをするために意識してほしいことは2つです。
- アミノ酸系のシャンプーを選ぶ
- 頭皮は指の腹で優しく洗う
汚れを落としやすくするために含まれている界面活性剤には、大きく分けて石油系のものとアミノ酸系のものがあります。アミノ酸系の方が髪の毛や頭皮を構成する成分に近い構造をしていて、刺激は少ないのが特徴です。
シャンプーをする際は爪を立ててゴシゴシ洗うのではなく、指の腹で優しくマッサージするように洗うよう心がけましょう。
頭皮の血行促進
頭皮の血行をよくしておくことも、健康な頭皮環境を保つ上で大切です。血液の流れがスムーズな状態を保てると、栄養や酸素が毛根に届きやすくなったり、老廃物がたまりにくくなったりします。
頭皮の血行を促進させる方法としては、頭皮マッサージや適度な運動があります。シャンプーのときに指の腹で頭皮を優しく刺激してあげるのがよいでしょう。運動を取り入れるのであれば、ウォーキングなど下半身の筋肉を動かすものがオススメ。下半身には大きな筋肉があり、全身の血液循環に大きな影響を与えるためです。
育毛剤の使用
頭皮環境を整えるために、育毛剤を使うのも有効です。頭皮に優しいシャンプーやマッサージなどを取り入れても不十分と感じる方は、一度試してみてもよいでしょう。育毛剤には、以下のような効果が期待できます。
- 髪の毛に栄養を与える
- 頭皮を乾燥などのダメージから守る
- 頭皮の血行を促進する
髪の毛が育ちやすい環境を作るのに必要な有効成分が豊富に配合されていて、髪の成長を助けてくれます。ただし、新しく髪を生やす薬でないことは理解しておきましょう。
毛根の復活にかかる期間は半年から1年
休止した毛根を復活させるための対策を始めてから、発毛を実感するまでにかかる期間は半年から1年程度です。通常でも休止期は3ヶ月程度あり、成長期に移行してから髪の毛が伸びるまでにはある程度時間が必要とされます。
髪の毛が生えてこない毛穴は、ヘアサイクルが休止期で停止している可能性が高いといえます。適度な刺激と十分な栄養を与えることで、毛根を成長期へ移行させることが大切です。
毛根が復活しない場合は専門クリニックへ
生活習慣の改善や育毛剤の使用を試しても改善されない場合は、早めに専門のクリニックを受診しましょう。ヘアサイクルの乱れによる抜け毛や薄毛は、AGAなどの疾患が隠れている可能性もあるためです。
AGA治療専門のクリニックでは、毛根が生きているかどうかを確認し、状態に合わせた飲み薬で治療します。症状が進行すると効果を実感しにくくなる可能性もあるので、気になる方は一度受診してみてくださいね。
まとめ
本記事では、眠っている毛根を復活させるための方法について解説しました。髪の毛が生えなくなっても毛根が死滅したわけではないことが分かり、安心した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは日々の生活習慣を見直し、髪にとって悪い習慣をやめて、よい習慣を取り入れることを意識してみてください。心がけを変えても改善しない場合は、あまり悩みすぎずにクリニックを受診することも視野に入れておくとよいですね。